2007年06月16日

椿山荘の美しい日本庭園を楽しむ -史跡めぐり編-

椿山荘の日本庭園を楽しむ 
-史跡めぐり編-


5月の終わり、椿山荘の美しい庭園を散策。
その後はお決まりの?!アフタヌーンティーを、フォーシーズンズホテルのラウンジで楽しみました。
アフタヌーンティーの記事はこちらからどうぞ
本日の記事は食べられませんっ。さらに文章多めです。

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ではまず、椿山荘について軽く触れてみましょう。

都心にいることを忘れてしまいそうな広々とした庭園の敷地は、なんと東京ドームの約1.5倍の広さの約2万坪!
椿山荘の周辺は、古来より椿が多くあり「つばきやま」と呼ばれていました。
その名にちなみ、山縣有朋(やまがた ありとも)が椿山荘と名づけました。

山縣有朋は、今の椿山荘ができる前に、この地で屋敷を構えていた、長州藩出身の明治・大正期の政治家・軍人で、明治天皇をはじめとする当時の政財界の重鎮を招き、椿山荘で重要な会議を開いていたようです。

大正7年、当時関西財界で主導的地位を占めていた藤田組の二代目当主藤田平太郎男爵が、名園をありのまま残したいと言う山縣有朋の意志を受け継ぎましたが、残念なことに、昭和20年の空襲で大邸宅や樹木の大半が殆ど焼けてしまいました。

昭和23年、藤田鉱業(旧藤田組)から藤田興業の所有となりました。
藤田興業の創業者となった小川栄一は「戦後の荒廃した東京に緑のオアシスを」の思想の下に、一万有余の樹木を移植し、名園椿山荘の復興に着手したそうです。


そして、昭和27年、ようやく完成した椿山荘で盛大な披露パーティが行われました。
以来、美しい庭園のある結婚式場の名門と呼ばれる椿山荘が誕生したのです。

ちなみに山縣は日本軍閥の祖と言われ、また政治家としても手腕を発揮したのですが、それ以上に極めて文化人でもあったようです。
和歌を嗜み、庭園を好んで、作庭については一家言を有していたようです。現在も残っている山縣の名園には、京都の無隣庵小田原の古稀庵、そして東京目白のこちら、椿山荘庭園があり、この三園をあわせて山縣三名園と呼ぶのだそうです。



椿山荘の庭園には、数々の由緒ある史跡が点在しています。
その一部をご紹介。

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筆塚


昭和33年の11月、出版美術家連盟の皆さんによって除幕式が行われた筆供養の碑です。
「筆に明け筆に生涯を送る私たちの伴侶を芭蕉ゆかりの地に祀り筆塚とする」
と説明されています。


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椿山荘の碑


明治10年、西南の役に凱旋した山縣有朋が、翌11年「つばきやま」の地を「椿山荘」と銘々した際の感慨を刻んだ記念碑です。
標高2m70cm。
なかなか存在感があります。


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石燈籠


南都興福寺にあったものを、大正14年頃に移築したものです。


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羅漢石


伊藤若冲(いとう じゃくちゅう)の下絵による五百羅漢のうちの約20体で、京都南伏見の洛南鳥羽某寺におかれていたものを大正14年頃に移築したもので、こちらには20体ほどあります。

こんなところで伊藤若冲つながりの作品に出会えるとは!!
柔らかく優しい、どこかコミカルな表情ですね。

ちなみに、羅漢とは阿羅漢(あらかん=悟りを得て、人々から尊敬をうける人)の略で、禅宗の伝来とともに日本へ渡ってきたと言われています。


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庚申塔


江戸時代の初期、この付近に野道があった頃から現在の位置にあったと伝えられています。

庚申塔(こうしんとう)とは、中国より伝来した道教に由来する庚申信仰に基づいて建てられた石塔のことです。
庚申は、十干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)十二支(子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)を毎日に当てはめてく暦法の一つで、60日ごとに巡ってくる庚申(かのえさる)の日。


十干十二支は、それぞれが陰陽五行とも対応していて、庚(かのえ)も申(さる)も金の気に属しているため、この日は金気が強すぎ、刀傷沙汰が起きやすい日として疎まれるようになったそうです。

道教では、人間の体内には三尸(さんし)の虫が住んでいて、庚申の日の夜、この虫が天に登って天帝にその人の行状を報告し、悪いことをしていると、天帝はその分その人の寿命を減らすと考えられていました。

三尸の虫は、人が寝静まってから天に上っていくため、庚申の日は夜通し眠らずにおれば三尸の虫は体外に出られず、天帝に罪を罰せられることなく長生きができる!?ということで、庚申の夜は・・・
夜通し神を崇め祭る → 夜通し飲み食いをして騒ぐ
という風習になりました。
後に仏教、神道など様々な宗教と結び付いていった庚申信仰ですが、庚申の日に徹夜する(=庚申待ち)を何年か行い、その記念に建てられたのが庚申塔なんです。

庚申塔は全国で見られます。
(昔はあちこちにあったらしいのですが、かなり撤去されたようです)
「申」は干支で「猿」に例えられる事から猿が彫られたものが多いのですが、椿山荘の庚申塔の神像は青面金剛だと思われます。


仏教では、庚申の本尊は青面金剛とされるため、青面金剛が彫られることがあるそうです。
青面金剛の姿は、頭にドクロをいただき、腕が4本または6本、それぞれの手には、三叉戟(さんさげき)・法輪・剣・弓矢など様々な武器を持っていて、仏教でいう、天や明王に似た戦う神の姿をしています。

青面金剛が三尸を押さえる神として崇められたのでしょうね。
また、青面金剛は疫病を流行させる神であり、その神を祭ることによって逆に疫病を防ごうとしたという考え方もあったようです。



うわ!長くなってしまいました。
庚申信仰って、道教、仏教、陰陽五行など、色んな信仰がミックスされた、よろずの神★日本ならではの風習なんですね。


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古香井(ここうせい)


古くから東京の名水に数えられた由緒ある湧水秩父山系からの地下水が湧き出されているもので、ミネラル・カルシウムを豊富に含んだ弱アルカリ性の水が湧き出ているそうです。
(目白台周辺は湧水に恵まれているそう)
関東大震災(1923年)の時には、被災者用に開放されました。


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福の亀


この亀の形をした石は、なんと!まったく天然のままの甲州御影石。
亀甲模様の線は永年風雨にさらされて、石の柔らかい部分が風化して出来たもので、一万年以上の年月を経ていると推定されているそうです。


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御神木


椿山荘の最古の樹木。
樹齢500年で、高さ20m。
根元の周囲は4.5mの椎の木です。


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丸型大水鉢


京都府東山粟田口から蹴上を経て山科に通じる日ノ岡峠にあったもので、木食上人養阿正禅(もくじきしょうにんようあしょうぜん)が旅人のために作ったものと伝えられています。
「木食」とは、米などの五穀を食べず、木の実や果実などのみを食べる行を行う僧のことです。


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十三重塔


戦国時代の武将であり茶人でもあった織田有楽(織田信長の弟)ゆかりの層搭と伝えられています。


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椿山荘では、数年前から庭園内を流れる小川の水質・水量の改善や整備など、ホタルが自生できる環境作りに取り組まれ、本格的なほたるの飼育施設を設置。
春先には、ほたるの幼虫を庭園の小川に放流しているそうです。

5月の下旬から、6月下旬頃までほたるの見頃を迎えています。

夜の庭園で、幻想的なほたるの光を楽しめますね。




■椿山荘(ちんざんそう)庭園情報


住所 東京都文京区関口2-10-8
    地図
時間 9:00~21:00
電話 03-3943-1111(代)
定休 なし
入園無料












at 22:59│Comments(3)TrackBack(0)★文京区 

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この記事へのコメント

1. Posted by moimoi   2007年06月17日 10:42
椿山荘の日本庭園はとても雰囲気がしっとりしているし、あちこちから気にいったものを持ってきてる感じがしてさすが凝っているなぁ~と思っていたのですが、ハシビロコウさんのように一つ一つ丁寧に作品のことが書かれていると、そうかぁ~と思うことがいろいろです(^^)v 庚申塚のいわれもじっくり読みました、あちこちの道端にあるものはそんないわれで建てられていたんですね。
何気なく若沖が下絵をしたものがあったりとか(以前に見たときは若沖のことは全く知らなくて面白い石だ・・と思ってたばかりでしたが^^;)貴重なものも沢山見られるので、近くであればもっと定期的に散歩に行きたいくらいなところですね。
2. Posted by naoko   2007年06月17日 18:07
食べられない...ハイ
でも、頭の栄養にはなりました!(笑)
いつものことながらハシビロコウさんの丁寧なレポートには頭が下がります。
都会に歴史の宝庫ありですね♪
3. Posted by ハシビロコウ   2007年06月20日 21:22
naoko さま
コメントありがとうございます。
いやぁ~そんな事言って頂いて、ありがたい限りです。
書きたいことが沢山あっても、
それを伝える文章力が足りないのが辛いところです。
それなのに、読んで頂いているのは本当に嬉しいです。
私は、今回初めてゆっくりと庭園を散策して、
調べてみて初めて歴史深い由来を知りましたっ。
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moimoi さま
コメントありがとうございます。
ぐだぐたとしたまとまりのない文章を、じっくりと読んで頂いて、
とってもありがたいです!!
庚申塔だけ、やたらと説明が長いのが笑えますよね。
前から庚申塔について興味があって、この機会にその意味を調べてみました。
本当に浅い知識ですが、全国に見られる風習って珍しいですよね。
きっと地域によって少しずつ意味合いが違ったりしてるんだろうな~って勝手に妄想してます笑。
庭園は人が少ないので(場所も便利なとこではないですしね)、四季折々の表情を、まったりと堪能できるのが良いですよね。

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