2007年08月20日

諏訪大社 -上社前宮-

諏訪大社 -上社前宮-

諏訪大社四社巡り、一番最後を飾るのは上社前宮です。
場所は、本宮の東に約2キロなので、本宮からゆっくり歩いて30分ほど。
JR茅野駅から約4キロ、車で5分程度の、山の裾野に鎮座しています。
私が最も感動した場所です。
それが伝えられたら嬉しいな・・・と思います。

前宮は、四社の中では最も素朴でシンプル、場所も少し離れているからか観光客もほとんど目にしません。

境内の大半を占めるゆるい山の斜面の広場を神原(ごうばら)といい、諏訪の神様が最初に前宮に居を構えられ、諏訪信仰発祥の地と伝えられています。
なので、上社にとっては最も由緒深いところとされています。


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神殿跡と鳥居


昔、この一帯は上社の祭祀の中心地で、大祝(おおほうり)(☆)の住まいである神殿(ごうどの)と、それに付属する数多くの建物が軒を連ねていたそうです。
しかし、室町時代の中頃に大祝が住まいを他に移したため、多くの神殿は消滅し、現在では祭典に必要な建物だけになりました。

今ではこんなに静かだけど、当時は厳かで神聖な雰囲気だったんでしょうね。

(☆)大祝(おおほうり): 
生神、現人神(あらひとがみ)のこと。
タケミナカタノカミ(武御名方神)の子孫である諏訪氏が、大祝という生神の位に就いていました。
大祝は、諏訪大神が自分の体として選んだ成年前の幼児が即位し、最高統率者でした。
神殿に居住して郡外には出ず、人馬の血肉に触れず・・・等、清浄を重視していたそうです。
また、大祝の分身である童児は、信州の三つの地域からそれぞれ一年毎に選ばれて、一定期間の籠りをした後に前宮での神事にしていました。


諏訪大社の祭政体は、ミシャクジ(ミシャクヂ・ミサグチ・ミシャグチ)神という木や石など自然の精霊なのですが、そのミシャクジ神の祭祀権を持っていたのは神長官という職の人。
大祝の即位にあたっての神降ろしの力や、呪術によって神の声を聴いたり神に願い事をする力は神長のみが持つとされ、信仰と政治の実権を持っていました。
よって、諏訪の地には、古代から中世にかけて、大祝と神長による信仰と政治の一体化した諏訪祭政体が続いていたようです。

現人神の大祝に自然の精霊ミシャクジ神に神長・・・古代、この地でどんな事が行われていたか想像するだけでもゾクゾクしちゃいますね!!
神長とミシャクジ神、武御名方神との関係や、古代の祭祀については、後日またご紹介しますので、お楽しみに?!(待ってる人、います??)



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十間廊(じっけんろう)


鳥居の左側にたたずむこちらは、間口3間、奥行き10間もの大きな建物。
間(けん)は、尺貫法における長さの単位で、1間は約1.8182メートルです。
その奥行きから十間廊と呼ばれていますが、昔は神原廊とも呼ばれていました。

上社最大の神事である御頭祭(おんとうさい)(後日ご紹介します)は、この上段に神輿を安置して三月の酉の日に執行しました。
明治以後、御頭祭は4月15日に行われ、本宮で例大祭を済ませた後、行列を整えて神輿を渡御して、この建物の上段の間に安置して神事を行なうそうです。


・・・
・・

前宮の御本殿である社殿は、こちらにはなく、ここからからさらに200mほど登った高台に位置しています。
早速向かいましょう。

途中、右手に大きくて立派なケヤキが目に入りました。
ケヤキの根元には小さな石の祠があり、この場所は「御室社」であったという説明の看板が立っています。

説明によると・・・

「中世までは諏訪郡内の諸郷の奉仕によって半地下式の土室が造られ、現人神の大祝や神長官以下の神官が参篭し、蛇形の御体と称する大小のミシャクジ神とともに、「穴巣始」といって、冬ごもりをした遺跡地である。
旧暦十二月二二日に「御室入り」をして、翌年三月中旬寅日に御室が撤去されるまで、土室の中で神秘的な祭祀が続行されたという。
諏訪信仰の中では特殊神事として重要視されていたが、中世以降は惜しくも廃絶した。」


ええっ!12月から3月まで半地下で神様や神官が冬ごもり?!
密室の中で繰り広げられる神秘な祭祀・・・。
非常に面白い。



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前宮の本殿


御室社から更にのどかな田舎道をすすむと、大木につつまれた上社前宮の社殿が現れます。
自然と一体化した、素朴で神々しく美しい本殿。
現在の建物は、昭和7年(1932)に伊勢神宮の古材を使って建てられました。
こちらに、大祝が住んでいたんですね。

じりじりと日差しが容赦なく照りつける暑い日でしたが、大木に囲まれたここだけは涼しかったんです。
他ではミンミンゼミが鳴いているのに、この辺りだけカナカナが鳴いていました。


さらに暑さを和らげてるれるのが・・・


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自然と一体化している手水屋


本殿の横には、水眼(すいが)と呼ばれる小川が、里に向かってサラサラと流れています。
この川の清水は上社の御神水として大切にされてきたもので、前宮に参拝する際には、水眼で口をすすぎ清めてお参りします。

奥に見えるのが4つの御柱のひとつ。
ほかでは三と四の御柱は本殿の奥にあり、お目にかかれないのですが、前宮では4つ全ての御柱を拝見することができます。



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清流のせせらぎが聞えますか?


キリリと冷たい御神水は、疲れた体を癒し、心も和みました。
参拝する地元の方や、ほんの少しの観光客しか来ない静かな時間も流れています。


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燦然と輝く光を浴びてそびえ立つ御柱



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本殿奥の大木たち


しばらく見惚れてしまいました。


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参拝を済ませた後、一時間ほどのんびりと前宮の木の下で涼みました。
自然のパワーをたっぷりともらえた気がします。


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下界と違って、前宮本殿の周辺だけは異空間だと思ってしまうような場所。
たとえ不思議なことが起こったとしても、なにも違和感を感じないでしょう。

実際、ほんの少し不思議な体験をしてビックリしましたが、前宮だからこそ起こりえるのかな?と、なんだか納得してしまいました。


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前宮本殿前からの眺め


高台なので、景色が良いです。
ここにいるだけで、とてもすがすがしくて気持ちいい。
昔は、この原っぱ全てが前宮の敷地だったんでしょうね。
現人神である大祝は、この光景を眺めて何を想っていたのでしょうか。
古代の佇まいに想像を膨らませつつ、前宮の話はおしまい。


次回は、前宮から本宮に向かう途中にある、今回の旅のもう一つの目的地をご紹介します。




■諏訪大社上社前宮


所在地 長野県茅野市宮川2030
     地図




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最後に諏訪ネタ

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at 15:05│Comments(5)TrackBack(0)★長野県・諏訪大社など 

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この記事へのコメント

1. Posted by naoko   2007年08月20日 22:48
なにやら底知れぬ偉大なパワーを感じます!
画面からですら。
ここに本当に居たら?と想像すると、ハシビロコウさんのゾクゾクもすごく伝わってきます。
感動が聞えました~。
そうそう私はいつも感心。。
ハシビロコウさんのレポートの丁寧さにです。
「冬ごもり」を、神様も冬眠してたんだーと早とちりした不謹慎な私ですが・・・(スミマセン)
待っている人、ハーイ!です。
2. Posted by ハシビロコウ   2007年08月22日 08:49
naoko さま
コメントありがとうございます。
うわーーー!感じて頂けて、ありがとうございます。
せめて写真から、
バババーン!と皆様にパワーが伝わってほしいな・・と思います。
「冬ごもり」、別の文献で調べてみると、ミシャクジ神の化身である大蛇も一緒に穴にこもっていたそうなんですよ。
だから、もしかしてみんな冬眠しちゃってる?!かも知れませんっ。
(人が大蛇の餌になったりしないのかな??)
まとまりのない長い文章を読んで頂いて感謝です。
次の記事もがんばるぞ~ぅ。
 
3. Posted by moimoi   2007年08月22日 17:09
諏訪湖などには行ったことはあっても(あれ?全然場所が違うかも?ですね・・^^;)諏訪大社には行ったことがありませんでした、ハシビロコウさんの丁寧な旅紀行を読んでいたら、なんだか雰囲気が良くて落ち着いたとても素晴らしいところのような気がするのです。それに遠くから毎年通ってる方とかもいらっしゃるようだし!
冬篭り・・というのもどんな感じだったのかタイムマシンがあったらちょっとのぞいてみたいですね(笑)小川の水も冷たそうで、思わず手ですくってしまいそうです。樹齢何年もたったような大木もじっと見ていたくなりそうですね。
4. Posted by ハシビロコウ   2007年08月24日 08:17
moimoi さま
コメントありがとうございます。
諏訪湖行かれたんですね~♪
今回の諏訪の旅、
諏訪湖は到着時にちょっとしか眺められなかったんですよ。
あとは、車窓から眺められたぐらいかな。
湖のほとりで、ぼーっとしたかったんですが、
時間がありませんでした。(次回こそはっ!)
諏訪大社、前宮以外は観光客やお参りの方が沢山いましたが、
前宮だけは、ちょっと他とは違う雰囲気をかもし出していました。
機会があったら、是非moimoiさんも訪れてみてください。
神秘的でおススメですっ♪
はじめまして。カミタクと申します。
 私が運営するホームページ「温泉天国・鹿児島温泉紹介!」
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/kagoonin.htm
内のサブ・コンテンツ「諏訪大社上社前宮訪問記」
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/NAGANO04.HTM
から、貴記事にリンクを張りましたので、その旨報告申し上げます。
 今後とも、よろしくお願い申し上げます。

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