2007年08月30日

諏訪地方の古代ロマン・神長官守矢史料館

素敵な空中茶室を眺めた後、たどり着きました

茅野市 神長官守矢史料館

高過庵が見える道路を道なりに下ると、目的地「神長官守矢史料館」に到着です。

こちらの史料館は、諏訪大社上社前宮の記事でご紹介した、諏訪地方に古くから鎮座する(というか、本来の日本人の信仰の元でしょうかね)ミシャクジ神(ミシャクヂ・ミサグチ・ミシャグチとも呼ばれる)・・・それは樹であり、石であり、自然の精霊・・・が降りてくる生神様「大祝(おおほうり)」の神の声を聴いたり、願い事をする力をもっていた神長官(じんちょうかん)という筆頭神官の史料館になります。

守矢とおっしゃる方が七十六代まで神長を勤め、一子相伝の口伝えにより、歴史を伝えてきたのだそうです。
守矢・・・あ、上社のご神体は守屋山ですね。
きっとこれにも深い関係があるのでしょうね。


細かい話は後にして、まずはその素敵な建築物をご覧頂きましょう。

高過庵と同じく、建築家は藤森照信(ふじもり てるのぶ)さんで、こちらの神長官守矢史料館は、彼の処女作になります。


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素敵ですね!
個性的ではありますが、その土地にとっても馴染んじゃってますね。
昔からそこに建っていた・・・そんな感じさえします。

鉄筋コンクリートの構造の上に、壁部分には内側外側共に特別調合の壁土が塗られています。
一部壁土の上には、サワラ手割板をかぶせています。
手作り感たっぷりですね。
パンフレットに載っている建物はまだ新しい頃のもので、その板は土壁のような黄土色ですが、月日が経った今では黒っぽい風合いになっていますね。
屋根には、地元の平石と天然スレート(粘板岩を薄い板状に加工したものですが、天然物は粘板岩が圧力で変質したもので、非常に高価らしい・・・)をのせています。
正面入り口の飛び出ている四本柱は地元産のミネゾウの樹を使っているそうです。


入館料は激安!大人100円也。
入り口で靴を脱いで、早速中に入りましょう。

「おめでとうございます~。アナタが10万人目の入場者ですよっ♪」
なんて、お話好きな係りのおじさまの明るい挨拶に迎え入れられ、涼しい館内に。
「ご興味があるのは建築ですか?それとも歴史ですか?」
と尋ねられ、思わず「りょ・・両方関心があります!」と答えてしまいました。


そんなに広くない館内には、古代において「洩矢(もりや)の神」と呼ばれ、千数百年以上におよび諏訪大社の祭祀を司っていた守矢家の、狩猟時代の時代をくむ諸資料が所狭しと展示されています。
もちろん、藤森建築の温かみのある建物の内部も見所いっぱいですよ。


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味わいある窓


質感のあるガラスがあしらわれている可愛い小窓からは、遠くの高過庵が眺められます。


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土壁の質感


外観ともに、素朴で温かみが感じられますね。
壁と階段の境目が優しい曲線です。

・・・
・・

神長官守矢家が司る諏訪大社上社の祭祀のうち、もっとも大掛かりで神秘的なのが御頭祭(おんとうさい)。
上社前宮の記事でご紹介した前宮の十間廊(じっけんろう)で行われる 『神と人との饗宴』 のお供え物の一部を、復元展示しています。
この祭は、原始時代からの狩猟・農耕さまざまな信仰が重なり合った複雑極まりない祭祀ですが、ここでは天明4年(今から二百二十年ほど前)の菅江真澄の江戸期のスケッチに描かれたものを復元しています。

少々シュールですが、ご覧下さい。


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供物の一部


御頭祭は春の祭です。
冬から春になるまで前宮に造られた御室(みむろ)と呼ばれる竪穴住居に篭り神事を行った後の春の祭りです。


前宮の記事でご紹介した、「冬に神と人が篭る」という神秘的行事ですが、手元の資料をしっかり読んでみると、さらに面白いことが書かれていました。

「ミシャクジ神は、冬になると竪穴住居の中に籠る。同時に巨大な蛇体も中に入れられこの竪穴の中で、神と人と蛇が一緒になって御頭占、筒粥占といった冬季の重要な神事が行われる。」
(長野県茅野市「神長官守矢史料館のしおり」より抜粋)


・・・なんとなんとっ!神と人と大蛇が一緒に冬籠りですか。
動物と人間が籠ると言えば南総里見八犬伝?!とか、餌になったりしないのだろうかとか、色んな妄想が頭の中を駆け巡りました。

春の3月になると、ミシャクジ神は動物達が穴から出、植物達が芽吹くのと同じ様に、竪穴から地上によみがえってきます。
そして、3月の酉の日、『神と人との饗宴』があり、その後にミシャクジ神は地方巡行に出発するんだそうです。


では、それぞれのお供え物について、簡単にご説明しましょう。


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ずらーり勢ぞろい?!


神前に献ずる鹿やイノシシやカモシカの生首。
実際には七十五頭の首がずらりと並んだそうです。
頭だけでなく体全部が献ぜられた時代もあったとか。
現在では剥製を使って神事が行われているそうです。


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耳裂鹿(みみさけしか)


左側の耳が裂けていますね。
七十五頭の首の中には必ず、神の矛(ほこ)にかかったといわれる、耳の裂けた鹿がいたそうです。
これは「高野の耳裂鹿」と言い、七不思議の一つに挙げられています。


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うさぎの串刺し!や焼皮


私の食いしん坊ブログも、遂にウサギの串刺しまでご紹介する程になりましたよ笑。

野の白ウサギを松の棒に串刺しにしています。
どうやら、死後間近なものを刺したようです。
ウサギの右の串は、何かの動物の皮を焼いた料理で、鹿か猪だろうと考えられています。
左の串は、海草の「あらめ」。
海のものだから、貴重だったんでしょうね。
左の樽の串刺し二つも、猪や鹿の皮を焼いたものと考えられています。


神人一体になって供え物を食べ、饗宴を催します。
また、謎の儀式もやはり多くあったようで、例えば「おこう」という紅の着物を着た子供を御贄柱(おにえばしら)とともに押し上げ、その後、立木に縄で縛りつけたりする儀式。
かつては「おこう」は殺されたと伝えられています。

・・・
・・

その他、守矢家に伝来する古文書、大祝の即位化粧具、武田信玄の上社への文書や、拝領の十角五重箱等も展示してあります。


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次回は、この神長官守矢史料館裏に佇む「御頭社宮司総社」、ミシャクジ神を祀っている祠などをご紹介します。
実はこちら、守矢家敷地内なんです。




■スポット情報


住所 長野県茅野市宮川389-1
    地図
時間 9:00-16:30
電話 0266-73-7567
定休 月曜・年末年始(12/29-1/3)
    国民の祝日の翌日
    (ただしこの日が月曜だとその翌日も休館)




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at 00:27│Comments(5)TrackBack(0)★長野県・諏訪大社など 

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この記事へのコメント

1. Posted by 風見鶏   2007年09月05日 23:24
諏訪旅行記の更新、お疲れ様でした!
相変わらずきれいな画像と丁寧な文章ですね。読んでいると自分もその場にいたような気分になります!
この記事で衝撃的なのは供物のお写真・・・
壁一面に並んでいるお顔はもちろんですが、うさぎさんのお姿はかなり衝撃的ですね。
あの、「高過庵」ってスゴイですね!
異空間って感じです。これは生で見てみたいなぁ。
地震は大丈夫?と少し心配になっちゃいました。
2. Posted by ハシビロコウ   2007年09月07日 22:55
風見鶏 さま
コメントありがとうございます。
こちらこそ、読んでくださってありがとうございます!
諏訪の旅、一泊二日なのに一ヶ月以上もかかっております・・・汗。
他にも、もちろん偽物ですが「脳みそ」のお供え物もあったんですよ~。
ミッフィーちゃんには見せられない光景ですっ!
その時代にタイムスリップして、あの儀式を垣間見てみたいなあ。
高過庵、普段から少し揺れてるらしいのですが、
地震がきたらどうなるんでしょう!!??
3. Posted by 花宵   2007年09月09日 23:49
御無沙汰で御座いマス。
ステキですね神長官守矢史料館♪
建物もデスガ、中身にもやられましたッ!!
建物内も写真が撮れるのですね。
残酷な儀式かもしれませんが、
文章を読んでいて、何故かあたたかさヲ感じてしまいました。
4. Posted by ハシビロコウ   2007年09月11日 16:22
花宵 さま
コメントありがとうございます。
はいはいっ!それはもう素敵でたまりませんでしたよ~♪
神長官守矢史料館、写真撮影した場所は入り口入ってすぐの展示室で、写真OKなんですよ。
さらに置くにある展示室は撮影NGみたいです。
想像していたよりも、コジンマリとした史料館でした。
今の常識で考えると残酷な儀式ではありますが(実際には人の生贄もあったはようですし)、私にはロマンを感じずにはいられない、素敵な儀式や風習に感じました。
はじめまして。カミタクと申します。
 私が運営するホームページ「温泉天国・鹿児島温泉紹介!」
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/kagoonin.htm
内のサブ・コンテンツ「神長官守矢史料館訪問記」
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/NAGANO05.HTM
から、貴記事にリンクを張りましたので、その旨報告申し上げます。
 今後とも、よろしくお願い申し上げます。

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